遠い箱

精神障害を持つアラ60のヘンテコな毎日と、日々変化する心情を綴ります。

バスキアと東京タワーと地ビールと...泥臭さが残っていた六本木で。

恥じらいもなく言ってしまう。
好きな街に六本木を加える、と。


住みたい街か?と聞かれたら、それは「違う」と即答する。
けれど、この街の良さを時を経て実感したバスキア展だった。
この展覧会で、実に20年ぶりで六本木を好きになった。


私が六本木界隈に通っていたのは、20代から30代前半にかけての約十年ほどの期間。
1980年代から1990年代前半にかけて六本木を私は好んだ。
それはちょうどバブル景気の頃にあたる。


私は子供時代からファッションに興味があり、流行のファッションは一通り取り入れていたものだ。

1980年代はジャパニーズ・プレッピー、ハマトラニュートラ、DCブランドでカラス族に、オリーブ少女ピンクハウスまでも着用した。
唯一、着用しなかったのがボディコンで、これだけはどうにも好きになれなかった。
同世代で話題が盛り上がると、必ずお立ち台の話がでる。
お立ち台やボディコンとは全く無縁な私だが、とりあえず話を合わせておくことにしている。
ディスコ嫌いの私でも数回ほど足を運んだことはある。
玉椿、JAVA-JIVE、GIZAのスクエアビルに入ったディスコ名が思い出される。
MAHARAJA系列にも行ったことがある。
けれど、どのディスコも頻繁には通ってはいない。
友人に誘われて、なんとなく数回行ったことがあるくらいだ。
当時の私は友人に誘われれば、気が向かなくとも誘いに乗る人であった。


ダンスが苦手な私の夜の遊びはバーが中心で、ダンスのできる空間で当時の私がたまに顔を出したのは西麻布3.2.8とYELLOWくらいのものだった。
当然、お立ち台に登ったことなど一度もない。


あの頃も六本木はキラキラしていたが、今よりも泥臭いところが残っていたように思う。
道ゆく人の多くが実に個性的で、街自体に主役の座を奪われることなどなかった。
人とは少し違ったファッションを常に考えて、誰もがオシャレを競い合っていた。
そしてたいていの人々は、全身○○というファッションを避けていた。
どの店にも、個性的で面白い人が大勢いた。
成功を夢見て内側からギラギラとした何かが滲み出ている人たち。
私も自分が何某かのものになると、信じ切っていた頃。


まさか精神病院へ入院するとは、思ってもいなかった。
ましては精神病患者になるとは、夢にも思わなかった時代だ。


あの頃は「生きづらい」人たちが、「生きづらさ」を胸に秘めて普通を装って暮らしていたように思う。
苦しさや辛さを別のものに変えて、誰もが必死に生きていた。
明日を夢見て、誰もが努力していた時代だ。


以前もブログに記したが、夫の職場が六本木にあったため、夫の希望もあって六本木には足を運ばなくなったのは私が33歳くらいの頃だろうから、かれこれ20年以上も前の話になる。


それから時を経て2005年頃だろうか、当時よく一緒に遊んでいた麻布に住む友人の家に泊まった翌日、その友人が「今から六本木ヒルズに買い物に行こうよ」と誘った。
私は普通の服装だったから、即座に断った。
「こんな格好で六本木なんて行けないよ」
友人は簡単に言ってのけた。
「何言ってんの?今時の六本木でオシャレしている人なんてほとんどいないよ?みんな普通の格好してるから、えるの今日の服だってオシャレな方に入るって」
そう聞いた私は眉唾物ではあったが、強引な友人の誘いに渋々したがって六本木ヒルズへ向かった。
友人の言う通り、六本木ヒルズは普段着の人で溢れかえっていた。
あれほど煌びやかな場所に、こんな普段着で平然と歩く人たちに度肝を抜かれた。
当たり前のように灰色っぽい服装で、近所の商店街をふらつくように六本木の街を歩く人々。
ファッションに気合の入った人など、ほとんど見かけなかった。
友人が言ったように、私の着ている服さえ少しはオシャレだった。
それでも私はお上りさんみたいに、六本木ヒルズ内をキョロキョロしながら友人の案内で、友人に付いて回った。
ここはもう私の来る場所じゃないな、そう確信して以来、六本木には用事ができたときに数回しか行かずに、この十五年近くを過ごした。


バスキア展で興奮冷めやらない私は、六本木ヒルズで数枚の写真を撮った。
ビルとビルの間に、東京タワーが昔と少しも変らわず、少しだけ遠くに浮かび上がっていた。


この街も捨てたものじゃない、そう思いながらファインダーに六本木を切り取る。
いやいやどうして、いい街じゃない?
そう思って、六本木ヒルズを後にした。

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そしてビールが飲みたくなって
何の気なしに立ち寄ったのが、ここ「地ビール・クラフトビアバー Ant n' Bee」。

地ビール・クラフトビアバー Ant n' Bee】

craftbeer-tokyo.info




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まずは一杯目のビール。

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雑多な店内が面白い。


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翌日から9周年記念でイベントを企画しているとのことで、
景品をぶら下げる準備をしていた。


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軽いおつまみを二品オーダー。

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そして二杯目のビール。

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地ビールもおつまみも、美味しかった。



どことなく、バスキアの絵を思わせた雑居ビルの地下にあるビアバー。

また、近く来よう。


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by リクルート住まいカンパニー