遠い箱

精神障害を持つアラ60のヘンテコな毎日と、日々変化する心情を綴ります。

数多の問題から、それを選択した理由を述べよ。

ではでは、いよいよお待ちかね!
に違いないであろう、

r-elle.hatenablog.com

の、続き。


昨日の雨の中、私がいそいそと出かけたのはこちら、

www.asahiculture.jp


ノンフィクション作家であられる石井 光太氏が講師を務める、「ライティングの公式 入門」を受講するため。
当講座の講師詳細によると、

石井 光太(イシイ コウタ)
1977年東京生まれ。作家。ノンフィクション作品を多く出版する傍ら、小説、児童書、漫画原作なども幅広く行う。主なノンフィクション作品に『物乞う仏陀』『絶対貧困』『レンタルチャイルド』『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『原爆』など。また、小説や児童書も『蛍の森』『砂漠の影絵』『ぼくたちはなぜ、学校へ行くのか』など多数。

ライティングの公式 入門 | 新宿教室 | 朝日カルチャーセンター より


こちらが石井 光太氏の公式ホームページ。

www.kotaism.com


そしてお馴染み、Wikipedia

ja.wikipedia.org


実のところ、この講座を申し込むまで私は、氏のことを知らなかった。
朝日カルチャーセンターの会員に私がなった経緯は、少し前にハマった宗教の僧侶の講座が開催されたからだ。
実はこちらには入会優待があって、障害者は障害者手帳の提示で、入会が無料でできる。


f:id:R_elle:20201011134147p:plain


そんなんで無料で会員になったものの、首まで浸かりきっていたあの宗教の洗脳が解けてから暫し、こちらの会員となったことすらすっかり忘れ去っていた。
そして去る9月10日、入会時に登録していたメールアドレス宛に、当ーセンターから「朝カル教養情報【文章を書いてみよう】」なるタイトルのメールが届いた。

メールには、

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
この秋おすすめの文章創作講座をご案内します。
==================================================
◆秋の講座のお申し込み受付中!
お得な秋のWEB割引キャンペーンも実施中です(9/30水曜まで)。

とあった。


「割引」「お得」の文字に目がない私は、さっそくこのメールにリンクしたあった講座を一つひとつチェックした。
どの講座もなかなかの受講料で、2万円越えする講座も珍しくない。
そんな中、氏の講座は『一般で13,200円、会員なら9,900円』!
他講座の高値に目が眩んでいたその時の私には、この受講料がなんともリーズナブルに感じられたのだ。
冷静に考えれば、そこそこのお値段。


それにしても私は、カルチャーセンターなる存在には、どうにも違和感がある。
あれは20年ほど前のこと。
当時30代だった私は「セツ・モード・セミナー」という、今は亡きファッションイラストレーターの長沢節氏が創設した美術学校に通っていた。
当美術学校のデッサンの授業では、当セミナーの生徒やOBOGのの希望者たちがモデルを務めていた。
その中でもヌードモデルを務める人たちは、女性ならそのほっそりとしたカラダを更に美しく見せることに工夫を凝らしてポーズを決めるものの、個性的な男性たちは奇抜なポーズをとるモデルばかりだった。
お尻の穴が丸見えだったり、タマ裏がモロ見えだったりして、思わず吹き出してしまいそうになりるのだけれど、そういったポーズを取りつつ、見られていることに恍惚とした表情を見せられると思わずどきりとしてしまう。
慣れないうちは度肝を抜かれ過ぎて冷静ではおられず、ポルノなら修正が入るであろう箇所や表情が見えない場所で、大人しくひっそりと描いていた。
しかし怖いもので、慣れるに従ってそういったものを凝視するのに心が踊るようになっていくのだ。
ベストポジションの争奪戦で得た満足の場所で描く喜びといったら…モデルの恍惚がビンビン伝わってくるのよね。
ゾクゾクワクワク、モデルが次のポーズに入るまでの短い数分間の集中と緊張感。


いつしかヌードデッサンにハマってしまって、セツのヌードデッサンだけでは飽き足らず、他のデッサンやクロッキーのスクールにもどんどん参加するようになっていった。
基本的に万年貧乏だった当時の私に、払える受講料はたかが知れていた。
それでもいつだったか当時の私にとっては大枚を叩いて申し込んだのが、池袋コミュニティ・カレッジで行われていたヌードデッサン教室だった。


それまでの素人の、若くてほっそりとしたモデルたちとは打って変わって、ムキムキのマッチョがモデルを務めるその講座は、子育てを終え暇を持て余した有閑マダムたちで溢れかえっていた。
そんな中で、高円寺あたりの古着屋で見つけた個性が頼りの奇抜なファッションに身を包んだ当時の私は、ひどく浮いた存在だった。
描き慣れないマッチョと、それに群がる裕福なマダムたち。
これはもう居た堪れない場だった。
けれど納めた受講料が惜しくて、途中では辞められない。
一旦納めた受講料の返還は一切ないのだから。


そんな過去の苦い体験が私に、カルチャーセンターへの苦手意識を植えつけたのだろう。
あれ以来、カルチャーセンターへ通ったことはなかった。


ハマっていた宗教の講座も、申し込んだのは一度のみ。
しかもコロナ禍によるZoom講座で受講者の顔出しはなかったから、どういった層が参加しているのかは全くの不明。
浮いてるのか馴染んでるのか、そこに参加している実感すらなかった。


だから昨日受けた講座は、実に二十年ぶりのカルチャーセンター体験なのだった。


もちろん未だに裕福とは程遠い現在の私としては、今回の受講料も決して安いとは言い切れない。
そんなんで講師である石井 光太氏については、申し込む前に調べもしたし、著書も数冊読んだ。
そして受講を決めたのは彼の著書に、「虐待」をテーマにした作品が複数あったからだ。


この人は何故、この問題に目を向けたのだろう?
それが知りたかった。
どんな人が、どういう経緯で、虐待に興味を持つのか、直接本人に会って、対面で理由を聞きたかった。


こちらの講座が開かれるのは、月に一度で15:30~17:00の一時間半。
計三回で四時間半。
9,900円の受講料はだから、一時間にして2,200円だ。


第一回目の本講座を受けてみて、そこまでの価値が私的にあるかというと、そうとは言い切れない。
この回で彼が話したことを理解も意識もせずに、何かしらの文章を書いている人がいたとしたら、それこそ目も当てられない。


そういえば、質疑応答でピント外れの質問をした女性が一人いたが、彼女は一体なんなのだろう?
この作家の単なるファンなのだろうか?と、訝しんでしまうような質問だった。
もしくは彼の講義を「聞いてた?」と問いたくなるような…。
単なる目立ちたがり屋さん?
彼の目に留まりたい?


そんな昨日の講座を終えて一日経った今、支払った受講料に対して損をしたという感覚は私には皆無だ。
なんだろうな?
やはり文章で食べていけるプロというのは、そこいら辺の一般人とは放出するオーラが違うんだな。
パワフルで魅力がある。
話し方に力がある。
人を惹きつける何かがある。


だから私は、今から来月が待ち遠しくてタマラない。


話の内容よりも、彼が放出するパワーを近くで感じることが、楽しみでならない。
そして最終日までには何としても、彼が「虐待を題材にした」理由を聞いてみたい。