チャンス!?
若きあの日、その日一日をただやり過ごすこと、毎日毎日を何かに追われるような焦りだけがあって、けれど時間は無慈悲に過ぎていった。
過去のことも、未来のことも、考える余裕なんてなくて、ただただ生きている今日の積み重ねがそこにはあった。
苦しさも悲しみにも鈍感になって、喜びなんて感じられずに作り笑顔で過ごす日々。
あんな風に何も見えない日を過ごしてこられたのは、何故だったろう。
それはね、とても単純なこと。
深く考えることをやめてしまったんだよ。
考えたところで、奇跡は起きないから。
努力したところで、誰も認めてくれないから。
思えば絶望的な青春だったけれど、しがみつくように生きていた私には、何故か希望があったんだな。
いくつもの夢があった。
それはいつか成功をして、家族や親族を見返してやるのだという強い信念みたいなのがあった。
安っぽいって笑う?
若気の至りかな?
そうけれどさ、
あの状況下で、そういうのを持ち続けられるのって、中々のものだと我ながら思うんだよ。
今だってね、傍から見たら何も持たないおばさんとても、「飛ばず」にいて良かったって心から思えるんだ。
生きているのは面白いよ。
どれほど辛いことがあってもね。
先に旅立った彼女を、私は思う。
一緒におばさんになれなかったことを、ちょっとだけ恨む。
私の中の彼女が、27歳のまま笑う。
ごめんね、えるって申し訳なさそうに笑うんだ。
大丈夫、忘れないよ。
私と共に生きよう。
今がどんなに辛くても、
明日が見えなくてもね、
どうか生きていてください。
輝く未来なんてなくたって、
一緒に笑える人に出会えたら、
それはもう最高にハッピーなんだ。
今日は似たような誰かと出会えるかな?
まぁ今日じゃなくてもね、
生きてる限りはチャンスがあるさ。
行ってらっしゃい。
行ってきます。