遠い箱

精神障害を持つアラ60のヘンテコな毎日と、日々変化する心情を綴ります。

瓢箪から駒。

9月24日午後からの、就労移行支援事業所の担当との通話以降、心が乱れて落ち着かない。
気分が上がったり下がったりと、気分変調をめまぐるしく繰り返している。


じっと横になっていると気分が落ちてしまうから、なんとか立ち上がって動き回っている。
来年、現在住んでいるマンションの改装が予定されていることを家主から聞いたのは、いつ頃だったろう?
確か梅雨の頃だったから、6月あたりだったように記憶している。
そんなんで来年8月には、このマンションを立退かねばならない。


当初新しい住まいを探すことに対する夫の見解は、「退去のギリギリに探し始めれば良い」だった。
不本意ではあったが致し方ない。
渋々従うことに決めた私。
けれどこの数日間の気分転調が、私を行動に駆り立てる。
どんよりと落ち込むか、イライラと行動的になるかのどちらかで、一向に落ち着かなかった怒涛の3日間だった。


25日の午前中には夫と暮らすことに限界を感じ、夫に別居を言い渡すと、一人暮らしのためのアパート探しに奔走した。
26日にはそんな私の盲滅法の行動に折れた夫が転居先を探すことを承諾したから、今度は夫と二人で暮らすための住まい探しに夢中になった。


そして気に入った一軒のアパートは、おそらく元は家主が住んでいたと思われる物件。
案内された物件、それは老朽化したおよそ美しいとはお世辞にも言えない、2階建てのオンボロアパート。
まず目を引いたのは、そんなアパートにはまったくもって似つかわしくない重厚なドア。
二重ロックが設置されたその茶色の重厚なドアを開けると、大きな下駄箱が設置された広々とした玄関がある。
玄関に続くこれまた重厚な両開きのドアを開くと、二重サッシの大きな窓が壁一面に並び、明るい日差しが部屋を満たす広々としたリビングがあった。
寝室の壁一面には備え付けのクローゼット。
小ぶりとはいえ、窓があり追い焚き機能もあるシンプルな浴室。
窓のある広々とした清潔なトイレ。
機能的なキッチンには床下収納もしっかりと完備している。


スーパーや商店街が充実した最寄駅からは、徒歩8分でとても便利なのに、家賃はなんと8万円と破格。
案内した女性アドバイザーに、その場で「ここに決めます」と宣言した。
ウキウキ気分で不動産屋へ戻ると、次々と手渡されるいくつもの書類に記入した。
所要時間はおよそ1時間強。
すべての書類に記入が終わり、いよいよ契約手続きが完了となる直前になって突如、担当した女性アドバイザーがおずおずと一枚の紙きれを差し出した。
そこには賃料の8万円に二重線が引かれ、手書きメモで9万円と訂正された一文。


「どういうことですか?」
と、私。
「今わかったのですが、家主さんはもともと賃料を9万円と希望していたということでして、不動産会社の手違いで8万円と不動産サイトに掲載してしまっていたようです」
と、若い女性アドバイザーは申し訳なさそうに話す。


午後2時半にこの不動産屋へ訪れて、現時刻は19時半。
かかった時間はなんと5時間。
その5時間が一瞬にして、無と消えた。
呆れかえって怒る気にもなれずに、ポカンとしたまま家路についた。


いやはや、なんともお粗末な顛末に、気分の上下はピタリと消えて、何故か落ち着いた気分がやってきた。
瓢箪から駒
終わりよければ全てよし。


ずっとこのまま、静かな安定した気分でいられるといいのだけれど…そうもいかないのだろうなぁ。