遠い箱

精神障害を持つアラ60のヘンテコな毎日と、日々変化する心情を綴ります。

ワクワク体験

就労移行支援サービスを利用するのは初めてだから、慎重に選ぶつもりで7つの事業所の体験予約をとっていた。

初体験の事業所Mの所長は、とても感じの良い女性だった。

就労移行支援サービスを利用するのが初めてのため他の事業所にも体験予約していることを話すと、彼女は「もっとも」という顔で頷いた。調子付いた私は、合計で7つの事業所の体験プログラムを予約しと打ち明けた。すると彼女は目を丸くして「そんなに!」と驚いたのだ。

「え? 多いですか?」

「うーん...7つは多くありませんか?」

「...」

 

私は鬱期以外は、とても行動的だ。やらずに後悔するのが嫌なので多少無理をしてでも行動に移す。その挙句に疲れ果て、しばらく何もしたくなくなったりするんだけど...。幼い頃から常に通知表に記入された「おとなし過ぎる」「積極性にかける」「もっと活発に」等々の文字。全く消極的だった私が、自分流の自己改革で身につけた努力の積極性。そうやって無理を重ねたことも、発病の原因の一つなのかも知れない。

 

明るいとか、全く人見知りしないとか、社交的だとか、初対面ではそんな風に評される私だが、まぁ明るい部分もあるし暗い部分もある(これは誰もがそうだと思うけれど?)し、いやもうどちらかといえば根暗だし、人見知りも甚だしい。初対面での緊張といったらそれはもう半端ではなく、心臓はバクバクしているし、顔以外から冷や汗がダラダラ出ている。身体は状況によって冷えたり熱くなったり、それはもう大変なことになっているのだ。

 

そんな私が7ヶ所もの体験を予約したのは、単に用心深さからだ。興味本位で軽々とそうしたわけではない。そういえば中学生頃から父に「お前は石橋を叩きすぎて壊すタイプだな」などと言われていたっけ。

 

だから好感を持ったその初の就労移行支援サービス事業所の所長に、プログラム体験予約の多さを驚かれれば、途端にそんな体験などしたくなくなるのは当然だ。私は迷わずさっさと他の予約をキャンセルをして、その事業所Mに通うことを決意する、のはつい五日ほど前の話。

 

実は一昨日の精神科外来のとき、待合室でふと私は思ったのだ。

果たして他の事業所を全く見ずして、こんな重要なことを決めて良いものか?

 

就労支援サービスは一生のうち、合計で2年間しか受けられない!

 

待合室で診察を待ちながら、キャンセルした就労移行支援サービスのホームページを再確認する。一ヶ所、どうしても気になる事業所があった。キャッチフレーズがなんとも気にかかる。しかもその所在地は通院する精神科の隣駅で、徒歩でも20分以内で行ける距離だ。なにやら縁を感じ(すぐに縁を感じる私ではあるが...)、待合室から廊下へ移動し電話をかけてみた。

 

電話に出た女性の声は、可愛らしくも実にしっかりとしている。応対も気持ち良い。それまではウェブ予約とメールでのやり取りのみ、キャンセル申し込みもメールで済ませていたから、耳から直接脳に伝わる情報はこのときが初めてだった。

「先日プログラムの体験予約をウェブでいたしまして、その後キャンセルしたMと申します。やはり体験したいのですが...」

 

そんな経緯で今日、事業所Rでプログラムを体験した。私を含む5人のグループワークに参加したが、活発な意見交流に胸が踊った。プログラム後の所長との面談では、この企業の目指すものに希望を感じて心がはずむ。ちょっと気分が高まりすぎて、少しトーンダウンしなくちゃと思うくらいに。

 

 

事業所Mは落ち着きがあって堅実な感じ。規模も大きく、首都圏に30ヶ所以上も展開している。それと比較するとRは全国で10カ所にも満たない。

けれど、熱を感じるのだ。

 

明日、明後日と体験プログラムに通う予定。

楽しみで仕方ない。