遠い箱

精神障害を持つアラ60のヘンテコな毎日と、日々変化する心情を綴ります。

『イキカタサガシ』SOSA Project 編 ⑶ 桃源郷へ辿り着いた、何十年も引きこもりだったI氏と、魔女まりりんさんと、ダウンシフトと現状との間で我にかえったおっちーさんのお話。

さて、いよいよ終盤へ!
「イキカタサガシ」で生活体験をした就労移行支援スタッフとメンバーの体験談に登場した、
『SOSA Project』のメンバーお三方について私が知ったことを綴る。


どの方も印象的だったけれど、私が一番に魅かれたのは「まりりん」さん。
近々訪ねようと思っているので、そのときにまた報告したい。

何十年もの引きこもりの果て辿り着いた桃源郷へ〜I氏の場合。

今回このブログで何としても取り上げたかった方が、『何十年もの間、引きこもり経験をしていたというI氏』だ。
私が直接聞いた話ではないが、就労移行支援スタッフの説明で知ったI氏は、十年単位で『引きこもり』を経験した40代の独身男性だという。
昨年から自分の居場所として「アルカディアの里」に移住した、この里を心から愛してやまない方々の中のお一人。


まずは彼の実兄が、髙坂勝氏の著書『減速して自由に生きる: ダウンシフターズ』を読み、引きこもりを続けるI氏にこの本を贈る。
そして彼は「SOSA Project」を知ることとなる。
ここへ先に移住した母に、彼が続くのは数年後のこととなったようだが、引きこもりながらも彼は「アルカディアの里」へ通い、この場所や人々に魅かれていったと聞いた。
彼がソーラシェアリングヘの就労を決めるまでにはかなりの時間を有したようだが、その経緯や心境の変化について私は何も聞いていない。
まりりんさんにお会する機会があったら(いえ、必ずや機会を作りますが!)、I氏にもお会いしてお話を聴きたいと考えている。


私が確認した限りでは現在、I氏の名は「SOSA Project」には、載っていないようである。



桃源郷の魔女〜まりりんさんの場合。

移住して4年目を迎えた『まりりんさん』は、ここで5匹の猫と暮らす。
成人してから失聴した彼女の困難と悲しみがどれだけのものだったのか、私には計り知れない。
失聴するまでの彼女は幼稚園教諭として大好きな子供たちと元気に楽しく、生き生きとした毎日を送っていたのだろう。
聴覚障害となった彼女は絶望の淵に一人で立ち、嘆き悲しむ日々を過ごしたというのは我が就労移行支援スタッフから聞いたお話だ。
彼女は今、ここ「アルカディアの里」での『半農半Xライフ』を大いに楽しみ、喜びに溢れた毎日を送っておられる。
彼女はお米を作る以外にも、カウンセリングやベビーシッターをしながら生計を立てる。
彼女の耳は聞こえないけれど、口の動きで人の話を理解し、またご自身の語りも何の問題がないため、ごく普通に会話が進んだと聞いた。
時たま、彼女が用意してあるホワイトボードを使用することもあったようだが、それが必要だったのは数時間のうち「ほんの少しだけ」だったという。
現在の彼女の笑顔の素晴らしさを、就労移行支援スタッフもメンバーも口を揃えて語っていた。


彼女は毎晩布団に入ってから眠りにつくまでの間、その日の気がかりだった出来事を思い浮かべる。
その気がかりな出来事に対して、今の自分にとって正しい行動や発言だと判断したら、その気がかりを胸に止めることをやめる。
手放し方を、すっかり身につけておられるのだろう。
私は何故か、その話を聞いた時に涙が出そうになった。
シンと静まり返った街灯のない、月明かりと星明かりだけの里の古民家の一室で、この作業をそっと続けるこの健気な一人の女性の姿は、なんと美しく尊いのだろうと、感動したのだ。


私はこの女性と会って、たくさんの話をしたいと心から望んでいる。
きっと、近くそうするだろう。

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ダウンシフトと現状との間で我にかえったおっちーさんの場合。

おっちーさんご夫妻は「アルカディアの里」へ移住する前はご夫婦共に介護の仕事に就かれていたそうだ。
この里では2016年には大工仕事を、2017年から農業大学で農業を学び、2018年から有機農業家になるという経歴の持ち主。
二人のお子さんとの四人家族の月の収入は13万円程度で、なんの不自由もなく満ち足りた日々を送っておられるそうだ。


彼らが有機農業家となってから暫くは、実業的な農家らしく生産に追われる日々を過ごしたと聞く。
その忙しい日々の中で、おっちーさん夫妻はふと疑問を感じる。
自分たち夫婦がこの里へ辿り着いたのは、家族と過ごす時間を大切にしたかったからではなかったか?
なんなのだ? この忙しさは? 子供たちと過ごす時間が持てないほどの、この仕事に追われる毎日は?
望んでいてた暮らしが遠のいていくままでは、ここに来た意味がないではないか?
そうして原点に戻った今、おっちーさん夫妻は自分たちが生きる分と、少しだけ周りに分けるだけの足るを知る生活へとシフトし直したそうな。


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半農半Xライフって?

半分は農業で、半分は他の小さな仕事をいくつか持って、生計を立てていく生活。
地域の繋がりを大切にして、小さな共同体で助け合いながら、自給自足で送る生活。